2025-01-01から1年間の記事一覧

結局ぼやき人生

しんどいこと続いたので休みを取る。こういう時はフィクションの世界に入るに限る ので(昨年は映画三昧)さっそくアルプスの山の娘と若草物語を読んで号泣。ハイジは 野上弥生子大先生訳、びっくら多用にまたびっくらしましたがよい。若草物語もよかっ たが…

更級日記 春秋のさだめ

上達部(公卿、三位以上)や殿上人(だいたい四位五位)などに対面する人は決まっ ているので、もの慣れない田舎者の私にはいるのかいないのかさえ知るべくもありませ んが、十月一日ごろの大変暗い夜、普段経(昼夜間断なく経を読む仏事)があり、声の よい…

更級日記 宮仕え

まず一晩、菊の濃い薄い(蘇芳五枚白三枚の重ね)八枚に濃い紅の練衣を上に着け て参りました。物語にばかり心を傾けてそれを見るよりほか、行きかう友や親族など もなく、古代人の両親の陰にばかりいて、月や花を見るよりほかのことをしたことが ないので、…

更級日記 鏡のかげ

こうしてつれづれと考えてみると、なぜ物詣でしなかったのかといえば母はそうとう な古代人なので「初瀬参りは恐ろしいものだ、奈良坂で人さらいにあったらどうすれば いいのか、石山も関所の山越えがあるので恐ろしい、鞍馬もそういう山なので、連れて 行く…

更級日記 子忍びの森

継母だった人は(父と)下った国の名を名乗って宮仕えしているのですが、新しい夫 を得てもその名を使っていることを父が不愉快がっているので伝えるために、 朝倉や いまは雲井に聞く物を なほ木のまろが名のりをやする 朝倉の歌は遠い昔の話なのに、まだ昔…

更級日記 東山なるところ

翌年一月の司召しに親の喜ぶべきことがあるはずでしたが、その甲斐のなかった朝、 同じ思いをした方から「どうかと思いながら夜が明けるのを待つ心もとなさ」と、 あくる待つ 鐘の声にも夢さめて 秋のもも夜の心地するかな 夜明けを待ちながら、鐘の音に夢か…

更級日記 大納言殿の姫君

桜が咲き散るたびに、乳母が亡くなったのはこの頃だったと嘆くばかりです。同じ折 に亡くなった侍従大納言の姫君の文を見るとなおさら悲しい気持ちになります。五月に なり、夜が更けるまで物語を読んで起きていましたら、どこから来たのか、猫がいつま でも…

更級日記 梅の立枝

(家は)広々としていて荒れ果てて、今まで通って来た山々に劣らず大きな恐ろしげ な木がうっそうとして都の内とはとても思えません。大変あわただしく落ち着きません が、いつかはと思っていたことなので「物語を見せて、見せて」と(実)母にせがむ と、三…

更級日記 足柄山 富士川

足柄山では四、五日も怖いほど黒雲が立ち込めました。やっと着いたふもとでも空の 景色ははかばかしくならず、たとえようもないほど(草木が)生い茂って恐ろしいばか りです。ふもとで宿をとると、月のない暗い夜、闇に迷いそうな中から三人の遊び女が どこ…

更級日記 太井川 竹芝寺

早朝出発し、下総の国と武蔵の国境にある太井川の川上にある松里の渡り場に 泊まり、夜の間に荷物を対岸に渡しました。 私の乳母は夫を亡くしてしまいましたが、ここでお産をしたので(穢れを避ける ため)別宿を取り、別れて行くことになりました。とても恋…

更級日記 門出

念願のヤツガシラ 久しぶりに実家に帰り(生まれ育った場所ではないので抵抗のある言葉ではあるが) 本の整理をしていると更級日記が出てきた。一葉日記を訳したおかげで何とか読み下せ るのが嬉しくて訳してみることにした。もちろん知者の知恵もお借りして…