2021-01-01から1年間の記事一覧

水の上

真っ白の世界でも出ればドロドロビショビショ、家はヒエヒエでいいとこないわあ。 2日 早朝に石黒虎子さんが稽古に来る。午後西村さんが来て話をしていると川上眉山さん が来たとのこと、奥の部屋に通して茶菓を出す。今日は先日見たような金の指輪に糸織 …

水の上

真っ白い(泥まみれだけど)世界にいるとなおさら青い世界への憧れが強まる。 28日の続き この夜に入って馬場さんが来た。『文学界』のことで大層怒っている。脱会しようか と思うとまで言った。「このようなことは殆んどの人には言えない、常日頃親しくし…

みずのうへ

岩美町へ尾崎翠ツアーに行ったのは6年前、鳥取はとても美しかった。けど雪降る。 今思えばこれが役場との関係の始まりだったか…。何やら事業補助金の安いツアー (覚えていないが.現地集合でタダだったかも)のお世話になり、翌年地域おこし協力隊 になって…

奄美島唄

4時間かかって訳し終えるところでマウスを落としたとたんなぜかすべてが消えた。 どうにもやりなおす気が起きない。外は雪。-7℃。 島唄を再開したいがやはり一人では張り合いがない、この点家人はいくらでも一人で 練習したいタイプでうらやましい。奄美に…

水の上につ記

一日-4℃だった夕暮れの月 時は5月10日の夜、月は山の端にかかり、池では蛙の声がしきりに聞こえる。燈火 が風に揺れてまたたく所に坐っているのは紅顔の美少年馬場孤蝶君、以前高知の名物と 讃えられた馬場辰猪の気概を受け継ぎつつ、兄とは違う文学の…

水の上日記

遅まきながらクレイジーホースの一枚目を手に入れて私の元唄コレクションはやっと 終わりかな…。これはロッドスチュワート経由。ロッド先生は元気だが、亡くなった方 や予備軍のフォローが多いので、とうとうインスタに補聴器の広告が入ってきた。 セミリタ…

水の上日記

カラムシ体験生の2分の1の確率の面接に落ちた。8名のうちの最年長であり、若い人 を優先してくださいなど言わずもがななこと言って覚悟していたが、どうせ評価も最低 だっただろうと思って侘しい。織りは現実的でないと書いたのでけんか腰の面接者に、 糸を…

水の上日記

またこの季節が来た。美しいが、寒さ雪かき水浸し金かかる全て嫌悪でしかない。 15日 先生のところで、前田家に頼まれた詠草を書く。奥様のもの。 16日 早朝禿木さんが、星野天知氏より手紙と「花ごもり」2回目の原稿料をあずかって きた。禿木さんは学…

水の上

とうとう「水の上」に来た。もうすぐ終わってしまうのが淋しい。夜中目覚めて眠れ ないことが多く、そういう時はほとんど幸田弘子さんの一葉日記の朗読を聞いている。 「抄」なのが大変残念。名前の確認のために調べたら昨年の11/24に亡くなっていた。 水の…

塵中につ記

白湯を飲むとか整えるとか、丁寧な暮らしとやらはうさんくさいが、丁寧じゃない 暮らしをして胃を悪くし、アルコール以外で胃に優しい生活を心がける中、毎深夜目が 覚めて眠れぬ長い時間に、白湯はありがたいものであった。 思い立つことがあり、詠う。 す…

ちりの中

このところ痰が切れないので龍角散デビューしました。くっそま…大変不味です。 仁丹臭は覚悟でしたが別に、ムッとする田舎に住んでいる人ならわかる「あの感じ」が 喉の奥でさく裂します。あまりのことにお口直しをしてしまいましたが、それでは効果 がない…

ちりの中

昼を少し過ぎた頃だった。聞き覚えのある豆腐売りの声が聞こえたので考えてみる と、菊坂の家でよく買っていた人の声だった。真砂町32番地は鐙坂上の静かなところ だと人から教えてもらった通りに、とある下宿屋の横を曲がって出ると以前住んでいた 家の上に…

塵中日記

4日 晴れ。神田で買い出しをする。久しぶりに伊東夏子さんを訪ねた。話すことが多く、 日没近くまで語り合った。「宇治拾遺」と「西行撰集鈔」を借りた。 7日 晴れ。多丁に買い出しがてら、喜多川さんに菓子箱を返しに行った。帰り道奥田さん に利子を払い…

塵中日記

人しらぬ花もこそさけいざさらば なほ分け入らむはるのやま道 人に知られぬ美しい花も咲いていることでしょう、 ではさようなら、私はもっと春の山道を分け入ってみます わたつみの沖にうかべる大ふねの 何方までゆくおもひ成らむ 海に浮かぶ大きな船は、ど…

塵中日記

七歳の頃から手鞠まり遊びや羽子板つきよりも草双紙を好んで読み、中でも英雄や豪 傑伝の、弱きを助け強きをくじく正義の姿に大変感じ入り、勇ましくて華やかな活躍に わくわくしたものだった。そして9歳になった頃には自分の一生を普通に終えることが 嘆か…

塵之中

「落ぶれてそでに涙のかかるとき人の心の奥ぞしらるる」(落ちぶれた時こそ人の本当 の心を知るものだ)とはよく言った言葉で、不自由のなかった昔、私は人はみな情け深い ものだと思い、それはいつの世も変わりはないと信じていたが、生きることの困難は 世の…

塵之中

白く紅葉する木があった。今年は何の木か確かめたい。さてとうとう塵の中へ… 15日より家探しに出る。朝日がまだ出ない内から和泉丁、二長町、浅草まで足を 延ばし、鳥越から柳原、蔵前辺りまで行った。その方角にしたのは、立派な店構えなど は願わず、よ…

につ記

6日 晴れ。芳太郎君が来た。奥田の老人も来たが、暑気当たりなのか大変弱っている ように見えた。 7日 母は田部井さんのところに衣類の売却を頼みに行く。「書画など売ってもとてもまと まった金にはなりそうもない、持ち主が愛蔵してこそ価値があるが、興…

につ記

人は決まった収入がなければ平常心ではいられない。懐手をして(何もせずに)月や花 の間をさまよっていられればよいが、日々の食べ物がなければ天寿を全うすることも できない。文学は生計のためにするものではない。思いの馳せるまま、心の赴くままに 筆を走…

につ記

27日 雨 28日 号外があり「北航船鼎浦丸が難破し八戸鮫浦字大久喜に漂着。乗組員は一人も見えな い。おそらく三番艇と同じ終末となったと思われる」とある。悲しむべきことだ。 29日 曇り。どうにも困って伊東夏子さんに金を借りに行くと快く8円貸して…

につ記

北国の花はものすごく咲くなあ…シュウメイギクってぽつっと咲くものだと思って いた。春のタンポポのでかさ(余談だがアリも)、ハルジョオンの咲き方もすごい。 皐月3日 明け方より大雨が車軸を流すように降った。母は例の血の道で寝込んでいる。朝星野 天…

しのぶぐさ

12日 小石川に先生を訪ね、田中さんも訪ねる。話はいろいろあったがどちらも頭の痛い ことだ。3時頃帰宅。雨が降り出した。 13日 夜更けまで母に叱られる。親不孝をしたくないと常々思っているのにお心にかなわ ないことばかりで悲しい。 14日 小説の…

卯月1日 上野さんが清次さんを道連れに来た。日没少し前に帰宅。この夜本郷通りに遊びに 行き、「文学界」の3号が発売されているのを知った。今日から「読売新聞」を取り 始める。 2日 芦沢さんが来た。終日雨。夜が更けてから車軸を流すように降った。こ…

よもぎふにっ記

21日 午後『文学界』の平田という人が訪ねてきた。邦子が取次ぎに出たので、年取った人 かと聞くと「いえ、まだ若い人です」と言う。気が進まないが会う。高等中学の2年生 で平田喜一という日本橋伊勢町の絵の具商の息子で21歳であるとのこと。何の用で来…

よもぎふ日記

萩の舎の発会は26日だ。ゆううつなことが多いので行きたくないと思っていたが、 まだ世の中に立ち混じらなければならない身なので思い直して出る。みなは午後から 来るのだが、私はいつも通り午前中から行って支度を手伝う。小石川から先生と一緒に 車を連…

よもぎふにっ記

ピントは合わない、風は吹く、花の向きもおかしいから見苦しいけれど、 咲き始めのゆうすげとわたすげ、道造好きには憧れの花を始めて見た。 8日 空は雲ってとても寒い。こたつを昨日からやめたのでひとしお寒い。 9日 起きると空は晴れていたが、垣根の下…

よもぎふにっ記

26年1月1日 大変のどかなお天気で、門松の緑の千歳を祝い例年通りお雑煮を食べる。昔の三が日 は年始の客で台所仕事が忙しく、羽根つきをする暇もないと恨んだものだったが今は 来る人もない。母は近所に年始回りをしてくると、こちらにも老母や奥さんな…

道しばのつゆ

9日は萩の舎の納会だった。2、3日前から季節のせいか大変体調が悪く、頭も上げら れなかったので出席は難しいと思っていたが、今朝急にさっぱりしたのでこれならと 思って行く。髪も特には結わず、手足も垢づいたままだった。田中さん、鳥尾さん、 中村さん…

につ記

テレビで奄美やってる…いいな…もう縁はないのか、無理に行って空しい思いをする のか。どこにも居場所のなかった私なので希望が持てない。ねりやかなやは、あの世。 4日 曇り。今日は日曜なので野々宮さんが来るだろうと支度をしていると、西村さんと 上野…

しのぶぐさ

網野菊何度でも読んでしまう。一葉もしかり。片恋の苦しみをいつまでも味わう。 22日 晴天。菊地の老人が遊びに来て終日話をする。久保木さんと藤田屋の息子が来た。 夜になって突然渋谷さんが訪ねてきた。夏休みに帰郷したとのことで、さまざまな話が あ…