エミリ・ディキンソンの世界

   魂の最高の瞬間は

   孤独者に生じる 

   友人や地上での機会が 

   無限に退いたとき __

   

   魂を高く __

   高く昇らせて 

   その絶大な力を

   低く認識させたとき __

 

   天命は廃止される

   稀なことだが __ 

   それは幻影のように澄み __

   独裁的大気に従属する 

 

   永遠は暴露する 

   気に入った者だけに __ 

   不滅の大きな __ 

   大きな実体を                               306

 

   朝早く __ 犬を連れて __

   海を訪ねた

   階下にいる人魚たちが

   私を見に昇ってきた __

 

   上階のグンカンドリは 

   麻のような手を伸ばしてきた __

   私を

   砂浜に打ち上げられたネズミだと思って 

 

   しかし誰も私を動かすことはできない

   潮が私の質素な靴を通り 

   私のエプロンを __ ベルトを通り __

   下着にまで達し __

 

   とうとう私を飲み込みそうになった

   タンポポの袖に降る

   夜露のように __

   そこで私は歩きはじめた 

 

   彼は私を追いかけ __ すぐ後ろに迫った 

   私は彼の銀色のかかとを足首に感じた __ 

   靴にも __

   それは真珠で満たされるだろう 

 

   私たちは固い土地に着いた 

   そこに彼の知った人はいなかったので

   海はお辞儀をして __ 私をしかと見て __

   退いていった __                           520  

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