エミリ・ディキンソンの天国

                  

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     天国に行ってきました

     そこは小さな町で

     ルビーの光に照らされ

     綿毛に覆われていました

     朝露に満たされた野原よりも静かで

     絵のような美しさ 

     誰にも描くことのできない __

     人はレースで形取られた蛾のようで

     蜘蛛の糸で仕事をし

     羽毛のような名前を持ち __     

     こんなおもしろいところなら

     まあいいじゃないかと思いました           374

 

     

     私は死のために止まることができないので

     死が親切に私のために止まってくれた

     馬車に乗っていたのは私達と __

     不朽だけ

 

     彼は急がずにゆっくり馬車を走らせた

     そこで私も __

     その礼儀に応えて

     仕事や趣味のことを忘れることにした

          

     子供たちが輪回しの競争をしている

     休み時間の学校を通り __

     見つめる麦の畑を通り __

     沈む太陽を通り越し __

 

     いや太陽が私達を通り越し __

     夜露が寒さと震えを呼び込んだ

     私のガウンも 

     ショールもレースだったのに __ 

 

     そして馬車は家の前に停まったが

     それは土の匂いがして 

     屋根はほとんどなく __

     塚というようなものだった

 

     それから何世紀も経ったが

     馬の頭を永遠へと向けた __

     と思った最初のあの日よりも 

     短く感じる                    712