2023-01-01から1年間の記事一覧

泉鏡太郎からの手紙

明治25年 拝啓 特にご婦人という心にては書きにくく候まま、これは男の友達並みに書いたる手紙に ござ候そのおつもりでご覧くださるべく。昨日桐生(悠々)に会い候、ついでに何の気 なしにあのこと話し候ところ、始めのうちは変な顔をいたしおり候ところ、…

戸川秋骨の手紙

明治27年12月20日 「大つごもり」の原稿受納 いつもながらおもしろく拝読いたしました。編集小僧の悲しさ、すぐに何字何行と 数えて印刷の方へ送りました。お笑いまで、お礼をかねて。 草々 十九日夜 明治28年11月 今月はいよいよ拝見できることが何より嬉し…

平田禿木の手紙 三

京に上ってから早一月ばかりが夢の間に過ぎました。例の忙しい身となってどこへも ご無沙汰ばかりしていることをお許しください。評判(批評)の役を半分ばかり人に 譲ったので新しいもの見ず、とかく世間に遠ざかってしまいました。「雨の夜」という 優しい…

平田禿木の手紙 二

「暗夜」の続稿ぜひともお願いしたく、二十一日までに星野氏方へお届け下さい。 本月は私も何か出しますのでお見捨てくださいませんよう。お約束の(西)鶴全集を 近いうちに持参しますのでその折にいろいろお話ししたいと思います。まずは右くれぐ れもお願…

湿疹が治らぬわけ

11日 先日ロケットニュースに出ていたツナを作ってみた。まぐろの切り落としというか、 血合い部分がどーんと200円で売っていたのでさっそく試そうと買ってきたのだった。 ローリエがないので最後の虎の子のブーケガルニ小袋を使った。血合いが多いので少…

平田禿木の手紙 一

明治26年3月21日 今日はからずもお伺いしてあなたの風流に少し接することができましたことを深く お礼申し上げます。お作の「暁月夜」を店頭にて一冊求め、ただいま燈下で拝読し、 一重様のお心をとても哀れに思いました。つれなく見えた有明の月の形見を空…

伊東夏子との文 二

明治26年4月5日 過日は雨の中お邪魔して、お脳を長い間拝借いたしましたことありがたく、厚く厚く 御礼申し上げます。おかげさまで間に合いましたことありがたく、これまた御礼申し上 げます。とみれは(讃美歌の訳を一葉が手伝い「と見れば隔つる死出の流れ…

伊東夏子との文

明治23年1月12日(伊東夏子宛) 新玉の年の初めの御寿、言い古されたことではありますが、いつもいつもこの上ない 御ことでございます。さて今度のお稽古始めには、誰はおいてもお前様は必ずお出での ことと思っておりましたのにお前様のみか、みの子の君も…

堂々巡り

オナガガモの湖 おもしろかった孤蝶の手紙が終わった。一葉の返事、だけでなく日記の断片も失われ たものが多く大変残念。 マイナスの世界に慣れたとはいえプラスの世界になったら全然あったかーい!!松山 では椿祭りが終わると春が来ると言い、経験上大体…

おばさんの日々

神々しい感じだった瞬間。撮るのがちょっと遅れた。 寒い寒い。黒っぽいのは残念ながら黒鳥ではなく若者。 炊き込みご飯をずっと作りたいのだが、お弁当のため朝白米を炊くばかり。休みの昼 は外食や麺類にするのでなかなかできない。中華おこわ風、舞茸ご飯…

孤蝶の手紙 四 と最後の返事

文体が統一されていないが、何となく候文の時は敬語にして、そうでないときはでき るだけそのまま訳している。 先日は長々とご親切なお手紙をありがとう、その後はますますご清栄なことだと存じ る、秋骨が度々伺ってお邪魔をするとのこと、当人も夜分などは…

孤蝶の手紙 三

女史の筆はますます健やかなことでしょう。当地の寒気は恐れるに足らず、湖山の雪 景色はすこぶるおもしろいです。別れてからまだ二十五日ほどなのにもう一年もお姿に 接していないような心地がするのもおかしいです。六日の夜の会合はすこぶるおもしろ かっ…

孤蝶の手紙とその返事

(手紙を)書いていないことほとんど一月あまりになると思われ、またまた君に恨ま れることが怖いので、趣は乾き情も枯れた脳裏から自分にもよくわからないことをひね り出して書き続け、まずご無沙汰の照れ隠しとでもいたしましょう。その後は日曜、休 日ご…

馬場孤蝶に出した手紙とその返事

お忙しくしていらっしゃるのでしょうか絶えてお便りをいただけず、その地では悪い病 いが流行っているとかねがね伺っているので心配に耐えかねています。時々文学界の 方々のお出でもありますが、人様のお顔さえ見れば馬場様馬場様とお噂申し出すことが 少し…

馬場孤蝶の手紙 二

見るべき紅葉もなく、嬌音を聞くべくもないこんなところにはとてもいられないと、 去る七日に学校から僅かばかりの金を受け取るやいなや逃げ馬のように走って、停車場 から午後四時の列車に乗り込み行く先は九州相良ではなく、近松の浄瑠璃にある大阪と いう…

馬場孤蝶の手紙一(最後)と二への返事 

2021年にあげていた孤蝶のエッセイにちょうど今訳している手紙の返事があるので 修正して再度掲載。 一葉君は手紙の文章が実にうまい人だった。私は28年の8月末から30年1月にかけて 地方にいたので文学会の仲間たちの中では、一葉君から多くの手紙をもらって…

馬場孤蝶の手紙 一

相変わらずお麗しいお筆の跡がありがたく幾度か繰り返し(読みました)。さてあの 日藤村と天知に戦いを挑みましたところ、天知は在京中でしたので決闘状は鎌倉に虚を 突き、藤村は箕輪の家で病臥中、私に一矢報いる勇気もないとのことで、すこぶる失望 して…

馬場孤蝶の手紙と一葉の返事

明治28年3月15日 雪の降る中たびたびお邪魔してさぞご迷惑でしたろうと恐れ入っております。お母様 もさぞおうるさくお思いでしたろうとこれも気がかりです。私の大声は友達の中での 評判はもとより、一度二度伺ったある家でも名前は言わずにあの高調子な人…

おばさんの日々

川崎長太郎自選集が安くなって売り出された。もう無理だろうと思って選集を昨年 同じくらいの額で買ったばかりである。惜しいが全集はもっと欲しい。ロケットニュー スで見た日東紅茶の福袋1万円を買うのをやめてそちらに回す。どんだけロケットニュ ースに…

4年に渡る雑記というか繰り言

私の生まれは埼玉県のマンモス公団、千葉県のマンモスマンションに移り、鎌倉へ (ここだけ公表するいやらしさが鎌倉)と少しずつ南下後、一気に四国から鹿児島そし て大島紬(着るのも織るのも)と奄美島唄に出会い、次は奄美か?までは行けずに打ち 止め。…

2023 年始の覚え書

素敵だったが5分と見ていられず残りの20分音だけ聞く。 7日 保湿クリームでごまかしてきた湿疹がそろそろ限界。痒みから痛みになりつつある。 書き出して見ると、野菜大目などと言っていても大して食べていないことがわかる。 実際手で測定するやつでももう…

通俗書簡文 ただいささか

寒い寒い 日用文のこと 今風の文章は大変複雑で、さまざまな体裁がしきりに出てきております。怪しくも鵺 などと言ってある人をあざ笑うものさえいる(?)とか。さてその記事、紀行、随筆、 説話のいろいろはここには用がなく、男性の書く拝啓、頓首も私の…